Vision
いわくら病院は、
あなたやあなたのご家族がもし
心の調子を崩した時に、
安心して頼ろうと思っていただける
「とまり木」となれるよう
努めてまいります。
2024年、当院は新しい病院理念として
「人と社会に開かれている病院」
を掲げます。
それは当院がこれまで
取り組んできた精神科開放医療の志を
より広がりあるものとし、
精神科病院が決して
社会から隔絶された特殊な場所ではなく、
医療者との心開かれた関係をとおして
ご自身が思い描く
医療を受けられる病院であることを
意味します。
そのために、次の3つの意味で
「開かれている病院」を目指し、
いまだ閉鎖性のつよい
日本の精神科医療の「未来像」を、
実践をもってお示していきます。
1970年代から当院が全国に先駆けて開放医療に取り組んできたのは、
何より閉鎖病棟に入院させられた人が人間性を回復できる力になるためでした。
時代とともに精神科医療も心の病も少しずつ姿を変えましたが、
当院は開放医療を継続し、2019年には日本でも数少ない
開放病棟による精神科救急病棟オリーブを開設いたしました。
その人の行動の自由をできるだけ制限しないことはこれからも変わらず
当院の診療の根幹です。
その目的は、その人自身が主体として治療できるということ。
社会・ご家族との関係が無用に断たれないこと。
そして身体の機能を維持すること。
そうして入院中であってもご自身の人生を
生きているという感覚を持ち続けていただける環境を提供いたします。
子どもは、自分を1人の人間として尊重し、
目を見て、名前を呼んでくれる大人との交流の中で信頼感が生まれ、
「未知」に向かって変わることができます。
それは私たちが大人になり病を患い、治療を受ける時であっても同じです。
精神疾患による心身の苦痛で動けない時、生きづらさからアルコールや薬物、
摂食症、そして自傷という行動に依存し手放せなくなっている時、
たとえ認知機能が低下する病を得た時であっても、
ご自身が医療者から個人として尊重されている、
対話の中でご自身が参画して治療の方向性を決定しているということを実感し、
信じられる時、人は回復への一歩を踏み出すことができます。
私たちいわくら病院のスタッフは、患者さんご自身を治療と人生の主役として尊重し、
未来について意思決定なさるプロセスにお伴します。
そのために当院では診療やスタッフ教育に
『メンタライジング(自分や相手の行動の背景にある心を理解しようとする姿勢)』
の視点を採り入れています。
スタッフ自身が現場に在って、
『今ここで起こっていることを感じ取る・自ら考える・チームに持ち寄る・そして行動する』
という4つのプロセスを実践できることが、開かれている病院づくりの第一歩であると考え、
そのための学びを深めています。
いわくら病院は開放医療の歩みの中で
岩倉地域の住民の皆様との話し合いを続けてきました。
岩倉開放医療懇談会と呼ばれるその対話は2024年で40周年を迎えます。
現在も社会に開かれている病院として様々なイベントへの住民の方のご招待、
地域の小学校の先生方との相互訪問などの交流、
地域清掃などの取り組みを続けています。
また当院は訪問看護ステーション、就労継続支援施設、相談支援事業所、
デイケアなど患者さんやご家族の自宅などでの生活をお支えする
様々なサービスを提供いたしております。
それだけでなくお住まいの地域の支援者・事業所の方々と積極的に連携いたします。
救急病棟オリーブやアルコール依存症専門治療病棟おたぎ、
認知症治療病棟パンの木をはじめとする様々な機能を持つ病棟での
普段の生活から断絶されない入院治療と、
ケアの質が下がらない地域支援を柔軟にご利用いただき、
段差が少なく、つながりのある生活をお支えします。
当院を、「とまり木」として安心してご利用ください。